今回はデータを使い、論理的に体重コントロールについて考えていきます。
現在はダイエットやウェイトアップに関する様々な方法が存在しています。
「食品のGI値に気をつけましょう!」
「糖質制限をするのがいいですよ!」
酵素ダイエットが効きます!
などなど、本当にたくさんあります。様々な人が様々なことを言います。
肯定したり、否定したり、説が覆されたり、この業界はそういった情報が飛びかいます。
もちろん、人により適している方法も違ってきます。
こうなるといよいよ混乱しまよね。
なので、今回はGI値や低糖質など、世間で流行っているお話は一切しません。
ご紹介するのは、基礎中の基礎である「カロリーコントロール」です。
まずは、この理論を理解してから、その他の技を身につければ良いかなと思います。
目次
カロリーコントロールはいたってシンプルです。
ダイエットであれば、摂取カロリーを総消費カロリーより抑えると理論上は増えることはありません。
逆に、ウェイトアップであれば、摂取カロリーが総消費カロリーを超えれば、大きくなります。
基本はこれだけです。
当然ですが、食事は栄養バランスもしっかり考えないといけませんよ。
その他の方法はこの基本を知った上で、色々試していきましょう。
ちなみに野球のダルビッシュ有選手はウェイトアップ期に一日6〜7食とっていたそうです。
激しいトレーニングをしながらウェイトアップするには、本当に大変です。
減量も増量も意思力がいるということは確かですね。
ちなみに「カロリー」とはエネルギーの単位の一つですよ。
また、俗に言うカロリーとは、キロカロリー(kcal)のことです。
1日の必要エネルギー(1日の消費カロリー)
では、早速みていきましょう。
1日の推定必要エネルギー (kcal)= 基礎代謝量×身体活動レベル
これが先ほど述べたことを、式にしたものです。
1日でどれだけのエネルギーが消費されるかは、「基礎代謝」と「どれだけ動いたか」で決まるということです。
まず「身体活動レベル」は、1日でどれだけ動いたかにより変化します。
お仕事、部活、家事、運動、など日常生活の様々なことが関係するので、人それぞれ、日ごとにより、かなりばらつきがあります。
一方、基礎代謝量とは、人間が生きていく上で必要なエネルギー量のことです。
例えば、内臓を動かしたり、呼吸したりするために必要となるエネルギーです。
これは性別、年齢、体格によっても差が生じます。
ウェイトコントロールする上で、重要な数字となるのがこの「基礎代謝量」です。
これを知っていれば、どれだけの食事を摂取すれば良いのか分かるので、食事のコントロールがしやすいですよね。
また、基礎代謝量を理解する際に知っておきたいのが「BMI」です。
BMIについて
BMIとは、「body mass index」の略で、人の肥満度を表す指数です。
これは世界中で使われていて、BMIの高いことや低いことがもたらす病気の研究などにも活用されています。
BMIは高すぎても、低すぎてもダメということですね。
BMIの計算式は世界で共通していますが、「どこからを肥満にするか」という基準は国や団体により少しずつ違います。
日本肥満学会では、BMI22を標準値としており、
18.5以下が低体重、25以上が肥満の基準としています。
もちろん、小さな子どもや妊婦さんはこの数値には当てはまりませよ。
標準値が22になった理由は、健康診断で異常値が出なかった人の中で、BMI22ぐらいが最も多かったからだそうです。
この数字には、若年層や高齢者が含まれていないようなので、全ての人に当てはまるわけではないかもしれません。
これから覆される可能性はありますが、今のところはある程度の信頼性があるので、今回一緒に知っておきましょう。
これがBMIの計算式です。
体重(kg)÷(身長(m)の2乗)
例えば、身長150㎝、体重50kgの方で計算してみます。
50×(1.5×1.5) = 22.222…
小数点第二位を四捨五入すると、BMI22.2です。
ほぼ標準値ですね。
ちなみに身長から標準値のBMIを求めるときは、この式です。
22 ×(身長(m)の2乗)
基礎代謝量の計算
BMIを知ったところで、いよいよ基礎代謝量について掘り下げていきます。
BMIとは違い、基礎代謝量の計算式は様々あります。
これらが有名どころです。
・ハリス・ベネディクト方程式(改良版)を使った計算式
・国立スポーツ科学センターの計算式
・国立健康・栄養研究所の計算式
今回は国立健康・栄養研究所の計算式を使います。
国立健康・栄養研究所の計算式
(0.1238+0.0481×体重(kg)+0.0234×身長(cm)-0.0138×年齢-{※性別指数})×1,000÷4.186
※男性の場合0.5473、女性:0.5473×2=1.0946
※推定式は 20〜74 歳の集団で作成され、18〜79 歳の集団で妥当性が確認されている
試しに計算してみます。
厚生労働省のデータを元に、日本人の成人、概ね平均身長、BMI22、年齢30で性別ごとに計算してみます。
男性
171cm 64.3kg
(0.1238+(0.0481×64.3)+0.0234×1.71-0.0138×30-0.5473)×1000÷4.186
=1465kcal
※最後のkcal少数点第一位を四捨五入
女性 158cm 54.9kg
(0.1238+(0.0481×54.9)+0.0234×1.58-0.0138×30-1.0946)×1000÷4.186
=1183kcal
※最後のkcal少数点第一位を四捨五入
これで基礎代謝量が出ましたね。
では、この数字に活動量をプラスしていきます。
厚生労働省が活動レベルの群分けというのがあるので、これを見ていきましょう。
身体活動レベル=エネルギー消費量÷基礎代謝量
活動量の表
レベル | 内容 |
レベル I |
生活の大部分が座位で、静的な活動が中心 |
レベル II |
座位中心の仕事だが、職場内での移動や立位での作業・接客等、あるいは通勤・買物・家事、軽いスポーツ等のいずれかを含む |
レベル Ⅲ |
移動や立位の多い仕事への従事者。あるいは、スポーツなど余暇における活発な運動習慣をもっている |
体重1kg当たりの推定必要カロリー表
男性
※身体活動レベル | レベルI(低い) 1.50 (1.40~1.60) |
レベルII(ふつう) 1.75 (1.60~1.90) |
レベルⅢ(高い) 2.00 (1.90~2.20) |
18~29(歳) | 35.5kcal | 41.5kcal | 47.4kcal |
30~49(歳) | 33.7kcal | 39.3kcal | 44.9kcal |
50~64(歳) | 32.7kcal | 38.2kcal | 43.6kcal |
65~74(歳) | 31.3kcal | 36.7kcal | 42.1kcal |
75 以上(歳) | 30.1kcal | 35.5kcal | ─ |
厚生労働省『日本人の食事摂取基準(2020 年版)』を参照
女性
※身体活動レベル | レベルI(低い) 1.50 (1.40~1.60) |
レベルII(ふつう) 1.75 (1.60~1.90) |
レベルⅢ(高い) 2.00 (1.90~2.20) |
18~29(歳) | 33.2kcal | 38.7kcal | 44.2kcal |
30~49(歳) | 32.9kcal | 38.4kcal | 43.9kcal |
50~64(歳) | 31.1kcal | 36.2kcal | 41.4kcal |
65~74(歳) | 30.0kcal | 35.2kcal | 40.4kcal |
75 以上(歳) | 29.0kcal | 34.2kcal | ─ |
※70 歳代後半以降の後期高齢者に関する報告は、自立している者と外出できない者の二つに大別され、身体活動レベルが「高い」に相当する者が想定しづらい年齢層。
厚生労働省『日本人の食事摂取基準(2020 年版)』を参照
では、この活動表を使い、推定の必要エネルギー量を計算していきましょう。
先ほどの基礎代謝量と掛け算すると、現在の体格、活動量でどれだけのエネルギーが必要を求められます。
先程の例の続きでやります。
男性30歳、64.3kg、基礎代謝量1456kcal、身体活動量・普通
基礎代謝量(1456kcal)×身体活動量・普通(1.75)=2548kcal
体重の計算だと、
64.3×39.3=2527kcal
女性30歳、54.9kg、基礎代謝量1183kcal、身体活動量・普通
基礎代謝量(1183kcal)×身体活動量・普通(1.75)=2070kcal
54.9kg38.3=2102kcal
これが1日で必要なエネルギー量です。
この数字を超えれば、身体に脂肪などとして蓄積されます。
下回れば身体の脂肪や筋肉を分解して足りない分を補います。
さらに単純な計算をします。
朝、昼、夜、3食だとすると一食あたりはこうなります。
2527÷3=842kcal
2108÷3=702kcal
どうですか?思ってた数字とギャップありましたか?
これに3時のおやつ、食後のデザート、お酒などが絡んでくると、また話が変わってきます。
脂肪1gは9kcal、1kgの脂肪は9000kcalです。
その内、水分などがおよそ2割あるので、実際必要なエネルギーは脂肪1kgあたり7200kcalとなります。
まとめ
今回はデータを元に基礎代謝を深掘りしてきました。
ウェイトコントロールするにあたって、数字といかに付き合っていくかは非常に大切です。
一度、ご自身でも試してみてください。
また厚生労働省の資料をみる機会にもなり僕自身すごく勉強になりました。
イメージ通りのデータ、イメージとは違うデータ、そのような気付きが様々あったので、想像が膨らみ面白かったです。
上記した計算式などは厚生労働省のリンクでも載せています。
かなり詳しく書かれているので詳細チェックしたい方は是非確認してください。
他にも新しい発見があると思うので、結構参考になるかもしれないです。
最後までありがとうございました。