【必読】『脳を鍛えるには運動しかない』の解説【文武両道は正解】 - We are SETAGAYA ブログ

【必読】『脳を鍛えるには運動しかない』の解説【文武両道は正解】

ジョギングする人たち Fitness

今回はオススメの本、ジョンJ.レイティ著『脳を鍛えるには運動しかない』をご紹介します。

著者はタイトル通り脳を鍛えるための手段として”運動”を推奨しています。運動は筋肉を鍛えたり、ダイエットをするためだけのものというイメージを持っている方も多いはずです。

本書ではその概念を覆させられます。

賛成派も反対派もいると思いますが、読むことで様々な考え方を学べます。なかなかのボリュームの本なので全てはご紹介できませんが、要点を絞って解説していきます。

一読の価値ありです。

ジョンJ.レイティ with エリック・ヘイガーマン著,野中香方子訳,NHK出版

脳を鍛えるには運動しかない

運動をすると脳が成長する

本書の順序通り、まずこちらの事例をご紹介します。

「ネーパーヴィルの奇跡」

1999年イリノイ州にある203学区の学生1万9千人を対象に、「0時限」に運動を取り入れました。

つまり、通常の授業を受ける前に運動をさせるということです。

これによりリーディング力と理解力において17%向上しました。

そして、国際比較教育調査では理科で世界1位、数学で世界6位になるという記録を打ち立てたのです。

いきなりこんな事例が紹介されていたので、一気に興味がひかれます。読む気にさせられると言うか、展開が上手ですね。

ちなみに、原題は『Spark 〜THE REVOLUTIONARY NEW SCIENCE OF EXERCISE AND THE BRAIN 〜』です。全く違いますよね。実に攻めたタイトルです。内容をそのまま表現しています。

FROZEN』という原題を、『アナと雪の女王』にするぐらい攻めています。

とはいえ、どちらも日本語タイトルの方が分かりやすく表現できていますよね。

さて、本題へ。

はじめに運動をすることでもたらされるメリットを見てください。

頭が良くなる(脳の活性化)

運動でうつや不安も改善

ストレス解消

集中力や記憶力がアップ

メンタルの安定、ストレス耐性

幸福感ポジティブ

老化予防(認知症予防)

身体機能も向上

頭が良くなる(脳の活性化)

運動をすることで、BDNF(脳由来神経栄養因子)が分泌されます。

これにより脳内の「ニューロン」の成長、新生を促します。ニューロンは「脳内の道路のようなもの」と考えてください。道路を沢山構築することで、様々な情報が行き交いやすくなります。

すなわち、頭が良くなるというわけです。

具体的には、記憶を司る「海馬」、集中力や感情に関係する「前頭葉」に作用し、記憶力、発想力、感情コントロール力など、様々な点での成長が期待できます。

また以下の2種類の集中力が上がります。

長期的な集中力アップ

・前頭葉に作用

・集中力がアップ

・感情のコントロール

短期的な集中力アップ

・血流が良くなるから、酸素や糖が脳にも血流が行き渡り、脳が良い状態になる

・ドーパミンが放出されることで、脳機能が向上する

集中力だけで言っても、これだけの効果があります。

そもそも人間があまり動かなくなったのは、人類の歴史から考えるとほんの最近の話です。

何万年もの間、狩猟採集で動き回って生存してきたかと考えると納得するはずです。

動くことで進化してきたのが人類なので、現代でも運動は大切だということです。

うつや不安も改善

著者は精神科医であり、その視点から語られているので説得力があります。

簡単に言うと、運動によって自律神経が整うことによって、うつや不安も改善するということです。

自律神経には交感神経(活動)副交感神経(休息)があります。この二つの切り替えがうまくいっていないことがメンタルを不安定にさせる原因です。

運動をすることで「ドーパミン」や「セロトニン」が放出され、自律神経の切り替えがスムーズになってきます。そうすると心の状態も安定してくるので、落ち込んだり、怒ったり感情の起伏が穏やかになります。これら物質は幸福感を感じられたり、ポジティブになったりするのでも有名です。

また、うつ症状とまではいかないけど、ストレスを感じることは日々あると思います。そのようなストレス耐性も向上します。運動が終わった後のスッキリ感をイメージしていただければ分かりやすいと思います。運動をすることで、そう言った効果をもたらすのです。

もちろん、全てのメンタルヘルスが運動で治るというわけではありませんが、運動が大きな手助けになることは確かです。実際に、薬の投与でうつ症状の改善がみられなかった患者さんが、運動をすることで改善がしたという例も出てきています。

ここでは全て紹介しきれていませんが、ADHD、老化予防、認知症の予防にも運動は良いようです。

精神科の世界でも運動がメンタルヘルスに良い影響を与えるということが分かってきたのはここ20年程みたいなので、今後そのあたりの研究も進んでいき、今まで以上に「運動することはメンタルの安定にも大切」と考えられる時代が来るでしょう。

身体機能も向上

もちろん、身体機能も向上します。運動をするので、心肺機能の向上や筋力のアップも期待できるでしょう。運動の一時的な効用といったところでしょうか。

そういったフィジカル面の向上は日常の些細なところにも影響を与えます。

例えば、駅の階段を楽々上れるようになったり、長時間歩いても疲れにくくなったりなど。疲れにくい身体になるに越したことはなですからね。

身体も気持ちもアクティブになりるので、それが結果として、運動することにもつながり、脳を鍛えることにもつながります。まさしく、好循環です。

有酸素運動をやるべし

もう運動したくてたまらなくなってるんだけど、結局何をすればいいの?

みなさんもこんな気持ちになっていることだろうと思います。

結論、本書では「有酸素運動」を推奨しています。

有酸素運動とは、ウォーキング、ジョギングなど、長時間の低〜中強度の運動です。

これを、週に4回30分から60分以上続ければ、効果が得られるはずです。

具体的に言えば、最大心拍数の55-80%程度の運動です。(※最大心拍数 = 220-年齢 )

また、有酸素運動と組み合わせて、少し強度が高いランニング(最大心拍数の75-90%程度の運動)を取り入れた方がいいとしています。それらを取り入れることでより効果が発揮されるようです。

とはいえ、運動はまず「継続が大切なので、はじめのうちからそこまで追い込まなくても大丈夫です。慣れてきて肉体的にも精神的にも余裕が出てきたらやってみると良いでしょう。

逆に、やりすぎもダメです。身体の回復が優先され、脳が正常に機能しなくなる可能性がありますからね。

あと、筋トレでもBDNFは出ることが分かってきているようですが、今のところは有酸素運動が良いという結論です。

そして、「さらに上の効果を求める」という方は、本書では「複雑な有酸素運動」を推奨しています。

例としては、ダンス、武術…などです。

ジョギングのような単純な運動より、頭を使いながらの運動の方が良いということです。考えてみれば、当たり前のような話です。複雑な運動そのもので脳を使うし、BDNFが出て脳が鍛えられるというダブル効果ですからね。

しかし、これらはテクニックが必要だったり、人に手伝ってもらわなければいけなかったりするので、ハードルが上がります。だから、まずは「継続」と「はじめやすさ」を考慮して、ウォーキング、ジョギングからで良いと思います。

運動強度については以下で解説しています。

【知っておきたい】METS(メッツ)の話【運動の強度が分かる】

まとめ

さて、いかがだったでしょうか。

さぁ、運動しよう」と感じた方も多いと思います。

今日からでも早速始めてみましょう!

運動をすることのメリットまとめ

頭が良くなる(脳の活性化)

運動でうつや不安も改善

ストレス解消

集中力や記憶力がアップ

メンタルの安定、ストレス耐性

幸福感ポジティブ

老化予防(認知症予防)

身体機能も向上

細かく言うと、まだまだたくさんあります。本書では検証データ、統計なども掲載されており非常に説得力があります。是非、一度読んでみてください。

追加で僕が思ったことは、「今日は体がだるいから休む」という人は多くいます。しかし、実際に疲れているのは体ではなく脳ということが多いです。体が疲れている原因のほとんどは脳が原因ということです。

脳にゴミが溜まっていると言う表現をよくしますよね。そんな脳ゴミを除去してくれるのが運動です。だから運動した後には脳がスッキリして、逆に疲れがとれた感覚になります。疲れて運動をしたくないと感じた時には、この事実を思い出して、しっかり見極めましょう。もちろん本当に身体が疲れている場合は、休息してください。

あと、この本を読んでリンカーンの言葉を思い出しました。

もし8時間、木を切る時間を与えられたら、そのうち6時間を私は斧を研ぐのに使うだろう

という言葉です。脳を鍛えるには即効性がありそうな勉強をしようと考えがちですが、まずは運動して脳の機能を高めてから、勉強をすれば更に良いと言うことですね。

僕自身もモチベーションが上がり、今すぐ運動をしたくなってきました。

それでは最後までありがとうございました。

ジョンJ.レイティ with エリック・ヘイガーマン著,野中香方子訳,NHK出版

脳を鍛えるには運動しかない

参考

・e-ヘルスネット『ドパミン』
・e-ヘルスネット『セロトニン』