今回はお酒(アルコール)について深掘りしていきます。
最近のブログで、カフェイン、タバコ、ときたので最後に「お酒」です。
今回が「依存症三部作」の最終章となります。
この記事では、アルコールについて詳しくなるようメリット、デメリット、上手な付き合い方など深く見ていきます。
目次
お酒のあれこれ
お酒は、紀元前より何千年も前から親しまれていました。その中でもワインやビールは登場がかなり早かったみたいです。
記録で残っているのがそれほど前なので、記録されていないのでいうとさらに前からあったはずです。
日本では、『古事記』(712年)ですでに出ているので、実際はもっと前からでしょう。
日本の文化としては、神事の「口噛み酒」が映画『君の名は』で登場したのが印象的です。
さて、そのように人類の歴史ととも歩んできたお酒ですが、健康に害があると悪者扱いされる一方、平気で飲んでる人も数多くいますよね。
なぜそんなことになるのか。幸か不幸か、一回でのダメージは少ないからです。
みんなが数回で体調を崩すのであれば、麻薬のように取り締まりは確実に強化されますからね。
それではお酒の何が身体に悪影響か、はじめに言っておきましょう。
アルコールは体内で分解され酸化すると、「アセトアルデヒド」という物質になります。
この物質こそが健康に被害をもたらす張本人です。
発癌性があり、DNAやタンパク質を傷つけます。そんな物質が体内にいるのが良いわけがないですよね。
ある意味、「アセトアルデヒド」がこの記事の裏主役で、あとでたくさん登場するので覚えておいてください。
ここからは少し僕の個人的なお話です。
実は僕自身、元々かなりお酒は弱いです。
それがある種のコンプレックスでした。今考えると、コンプレックスと思うのがそもそもおかしいですが、若い時はそういうプライドみたいなものがありますよね?これには共感してくれる方も多いはず。いまだにそんなコンプレックスを持っている方がいるとしたら、「そんなプライド捨ててしまえ!」と言ってあげたいです。周りに強要するような人がいる場合は離れた方がいいですよ。
そういうことだったので、学生時代は少しでもお酒が強くなりたいと思い、頻繁に飲むようにしていました。すると、少しずつ飲める量が増えていきました。
つまりアルコールの耐性が少しできたと言うことです。馴化ですね。
しかし、卒業してからは変なコンプレックスもなくなり、身体のことを優先して考えるようになりほとんど飲まなくなりました。
明らかに体調はよくなりました。特に、睡眠の質が上がりました。
僕はアルコールの分解がしにくい体質なのではじめから向いてなかったと言うことです。
酔いにくくなったというだけで毒を身体に入れてることは変わりません。
後から述べますが、元々は分解しにくい体質の方が飲み続けることは本当に身体に害を及ぼします。
前置きが長くなってしまいましたが、まずメリットを見ていきましょう。
メリット
コミュニケーションの手段
ストレス発散、遊び
はじめに「Jカーブ」という考え方について触れておきます。少量のアルコールはむしろ摂取した方が良いとするという考え方です。
しかし、その調査が40年前のものなので、それを鵜呑みにするのはどうかなと僕は思います。
ですので、この記事では身体的なメリットは”ない”とした上で進めていきます。
「健康に多少良いと思っていたのに、実は害でしかなかった」というのは痛いですからね。
ただ完全否定というスタンスではなく、「新たな調査結果を待とう」というところです。
※赤ワインに含まれるポリフェノールのメリットなどはここでは除外します。
それではメリット見ていきましょう。
ストレス発散
お酒を飲むメリットとして「ストレス発散」は外せません。シンプルに楽しめるということです。
大人なら飲酒して気持ち良くなるという感覚は多くの方が味わったことがあるでしょう。
ストレスがたまっている時に飲むと「嫌なことを忘れられる」みたいな。
それもそのはず、快楽物質「ドーパミン」が放出されるからです。
ドーパミンは目標達成した時や運動をした時などに放出されるものなので、本来は放出するのに割と手間がかかります。
それを手軽に味わえるはメリットのひとつだと言えます。
コミュニケーションの手段
社会に出ると、「お酒の場」というものに必ず出くわします。
現代社会において、歓迎会、忘年会、新年会、結婚式など、一度も出席することなく人生を終えるのはかなり厳しいんじゃないでしょうか。
アルコールはコミュニケーションの大事な手段なのです。
お酒を飲むと「腹を割って話せる」と思う方も多いはずです。
理由は、脳の前頭葉の働きが鈍くなり自制心が弱くなるからです。
少しイヤな言い方になりましたが、ブレーキが緩くなるので、結果として本音で語り合える状況になりやすいということです。
歴史を変えるような大きな決断も実は「お酒の場」だったということも多くあるでしょう。
もしかしたら、「そこにアルコールがなければ歴史が変わっていた」という可能性もなくはないと思います。
お酒はそれほど強力なツールなのです。
ただ、お酒が好きな人と嫌いな人では本当に振り幅は大きいので誰もが楽しめるわけではないので、双方理解をする必要がありますね。
ちなみに僕は上述した通り今はほとんど飲みません。
お酒の場でも「きのうトレーニングしすぎたので…」と言って、ノンアルコール飲料を飲んでいます。
以上のメリットがあまりにも莫大なので、お酒を飲む人が数多くいるのです。
デメリット
続いて、デメリットを見ていきましょう。
まず健康面でのデメリットはもちろんのこと、金銭的、社会的にもデメリットが起こり得ると言うことは心得ておいた方がいいですね。
金銭面については前回の『タバコ』で深く触れたので今回は触れませんが、間違いなくお金も消費することになります。
細かく分けましたが、どれも見逃せないので一つずつ見ていきましょう。
・そもそも体質に合っていない
・自制心の低下
・睡眠の質の低下
・利尿作用がもたらす悪循環
・病気
・運動の敵
・依存性
そもそも体質に合っていない
アルコールの代謝物「アセトアルデヒド」を分解する能力は、性別、年齢、体格、体質により異なります。
知っておきたいポイントが次です。
日本人が属するモンゴロイドは遺伝的にお酒が弱い人の割合が多いです。
ここで弱いとは、もちろんアセトアルデヒドの分解能力が低い(ALDH2の活性が弱い)ことを指します。
「アセトアルデヒドの分解能力が低いことが進化の一種」という考え方もあるので”弱い”というのは100%正解ではないかもしれませんが。
日本人の約40%が分解能力が低く、さらに4%の人はほとんど分解できないようです。
ざっくり2人に1人は身体に合ってないというわけです。
逆に、モンゴロイド以外の人種では大半が分解能力が高いとされています。
飲酒を続けていると、アルコール耐性ができるので酔いにくくはなりますが、分解能力が大幅に上がるということはありません。間違っても強くなったと思ってはいけません。
つまり、身体に毒がめぐることに違いはありません。
だからお酒を飲み始めた頃「すぐに酔っていたし、赤くなっていた」という方は特に注意が必要です。
自制心の低下
どんな人でも普段は適切に心のブレーキをかけながら生活していると思います。
自制心が働いて、言ってはいけないこと、やってはいけないことを抑えられているはずです。
しかし、上記した通り、アルコールが入ると良くも悪くも自制心が弱くなってしまいます。
その結果、いつもは我慢できていることも、抑えられなくなってしまうのです。
有名人がお酒で失敗したというニュースは度々報道されますよね。
有名人だから表沙汰になっているだけで、一般人でもそのような失敗をした人は山ほどいるでしょう。
取り返しがつく程度の失敗ならまだ良いですが、そうではない場合は人生を棒に振る可能性もあります。
一回の気持ちの緩みでそうなるのは本当にもったいないですから、くれぐれも節度は守りましょう。
睡眠の質の低下
アルコールと睡眠の関係は見逃せません。
寝やすくなるからお酒を飲む
という人がよくいます。確かに眠りやすくはなります。
しかし、ある意味、眠らされているのです。
「睡眠は質が大切」ということは、過去の記事でも散々取り上げてきましたが、肝心な質が著しく低下します。
なぜなら、アセトアルデヒドには覚醒作用があるからです。
つまり、眠ってはいるものの、うまく回復できず、睡眠本来の意味を失っているのです。
深酒した翌日は妙に眠いのはそれが理由です。
利尿作用がもたらす悪循環
身体に異物が入ってきたときに起こる反応として利尿作用はあるあるです。
脳は水分を大量に出そうとすると同時に、脱水状態という信号を送るので、喉が渇きます。
その時にシンプルに「水」を飲めば良いのですが、さらにお酒を飲んでしまうパターンが多いでしょう。
水とかお茶は大量に飲めないのに、お酒なら大量に飲めるのはその脱水状態のシグナルのためです。
また、尿とともに塩分が排出されるので、しょっぱいものが欲しくなります。
だから、しめにラーメンとかなど濃い味のものを食べたくなるんです。
こういった欲を満たし続けたら、カロリー、塩分、アルコール過多になります。
また睡眠ともつながりますが、トイレのため目が覚めて眠りは浅くなります。
「なんでこんなに悪い方向へいってるの?」と考えると、全てのはじまりはお酒を飲んだことからですよね。
病気
ここまででわかるように、毎日飲み続けることは身体に負担です。
繰り返しになりますが、一回では少しの負担だったとしても確実に蓄積していきます。
そんなアルコールを最初に分解する臓器が「肝臓」です。
肝臓は「沈黙の臓器」と言われます。凄いタフで、ほとんど不満を言わない子なのです。
だからこそ危険です。
我慢し続けた肝臓が声を上げた時には、肝硬変など重い病気になっていたりするので要注意です。
もちろん、他の臓器にも悪影響がありますし、糖尿病など他の病気のリスクも上がります。
運動の敵
運動を日常的にする人にとっても大敵です。
アセトアルデヒドがいると、結果として筋肉の合成効率が下がるので、せっかくの運動効果が半減します。回復スピードが遅れます。
また、運動をしていない人にとっても無関係ではありません。
常に起こる細胞の新陳代謝をアセトアルデヒドが阻害します。すなわち老化につながります。
睡眠の質も下がることも老化につながるので、老化のダブルパンチです。
依存性
お酒を語る上でこれは絶対避けては通れません。
一番の問題が「アルコール依存症」です。
アルコール依存症になると健康、人間関係、金銭面など人生の全てに悪影響を及ぼすリスクがあります。
全てがアルコールに支配されるわけですから、それを最優先に考えるようになるわけです。
「毎日飲んでいるけど自分は大丈夫かな」と思っている人が一番危険です。
自覚していないだけで、もう既になっている可能性だってあります。
「休みの日は夜が待ちきれず飲んでしまう」
「お酒がないとやることがない」
「飲食店を探すときお酒のあるなしで探す」
なども危ない前兆なので、当てはまるかどうかご自身でよく考えていきましょう。
アルコール依存症は想像している以上に多いそうなので本当に注意しましょう。
以下、オススメの本です。お酒をやめた方が良い理由について説得力満載で書かれています。
うまく付き合うポイント
ここまで散々お酒の良くない点をあげてきました。
とはいえ、とはいえですよ、やはり現代社会において完全に避けるのは難しいですよね。イヤですよね。
だから、ここでは上手な付き合い方をご紹介します。
せめてこれだけは守っていきたいです。
飲む量
時間
飲む量
厚生労働省の基準によると、適度とは「20g」です。
もちろん、「通常のアルコール代謝能を有する日本人」という前置きがつきます。つまり、弱い人にとってはそれでも多すぎます。
ビール500ml(中びん1本)
日本酒一合(180ml)
チューハイ(7%)350ml
「これでは少なすぎる!」という声も聞こえてきそうですが、もう仕方ありません。飲めるだけまだマシです。今までがおかしかったんですよ。
すみません、もう一つ。ただこの量なら毎日飲んでOKではなく、休肝日を週2日とりましょう。
また、「アルコール度数が高いお酒は薄めて飲む」、「空きっ腹では飲まない」なども気をつけましょう。
もちろん、一気飲みは論外ですよ。
時間
重要ポイントです。
寝るときにはアルコールが分解できているように計算しましょう。
体重60kgの成人男性がビール500ml(中びん1本)で3〜4時間かかるとされています。
就寝のそれぐらい前までには、飲み終わるのが良いでしょう。
また、飲酒後のお風呂も注意です。
お酒を飲むと血管が膨張するので、その状態でお風呂に入ると貧血や心臓発作などの危険があるので避けたほうが良いです。
以上、「量と時間」の二点。
これらを守ることで、少しでも身体の負担を軽減できるはずです。
人間としての生活を楽しみつつ、健康にも気をつかうのが最高でしょう。
参考欄からより詳しく知れるようにリンクがありますので、気になるかたはご覧ください。
以下はタバコの危険性について紹介しています。
お酒からの卒業
最後に前回のタバコの時と同様ですが、やめ方についても触れておきます。
少量でもだめという方も多くいらっしゃいます。そういう方はどうしてもやめなくてはいけません。有効とされる「やめ方」をご紹介しますので、少しでも参考にしていただけたらと思います。
宣言する
人間は裏切れない気持ちがあるので、身近な人に「宣言する」のはかなり効果的です。
自分との約束だけだと簡単に破ってしまいそうですが、周りの見る目が加わることで課題を乗り越えやすくなります。
トップアスリートがメディアに向けて宣言するのもこの効果を理解しているからです。
いつからか決める
この日からやめると予め決めてしまいます。
「今日からやる」や「明日からやる」などよりも気持ちの整理ができる分、達成率が上がります。
また、同時に記録をつけるのも有効です。
スマホにメモでも手書き日記でも何でもOKです。要はやめている時の気持ちを洗いざらい綴るのが効果的みたいです。
最初の2週間が一番きつく、時には禁断症状なども出るかもしれません。そういった症状も包み隠さず書くことで自分と向き合うことが大切です。
90日もすれば我慢するという感覚ではなく、飲まないのが普通という感覚になるので、そこまでなんとか頑張りたいですね。
代わりを見つける
いつも晩御飯の隣にはお酒があったように、何か代わりのものを見つけられると良いです。
もちろん、食べ物でも食べ物ではなくても良いですよ。身体に悪いものはダメですが、何かしらハマるものを見つけられるとお酒以外に気持ちが向くので断ちやすくなります。
僕はトレーニングすることで効果を半減させたくないという気持ちが働きます。それも一つの代わりです。
まとめ
今回はお酒(アルコール)について語ってきました。
「カフェイン」「タバコ」と共通している部分も多く、やはりハマると厄介です。
タバコと比べて、お酒は今でもそこまで悪者にされていないので、世間の印象はまだまだ悪くないみたいです。
しかし、今回ご紹介したように「アセトアルデヒド」は身体に対する害が確実にありますので、そこはしっかり理解しておきましょう。
人生は長期戦です。一回あたりはそこまでダメージがなくても、内臓はいつか悲鳴をあげるので、できるだけ早めに手をうっておくことが大切です。
とは言っても、お酒は人生において大きな娯楽の一つです。
だから、ほとんどの方にとって完全にやめるのはとても難しいと思うので、うまく付き合っていく方向でやり過ごすしかないでしょう。
くれぐれも飲み過ぎには注意ですよ。
それでは最後までありがとうございました。
参考
・アルコール健康障害対策基本法推進ネットワーク
・公益社団法人アルコール健康医学協会
・厚生労働省『アルコール』