突然ですが、皆さんは「幸せホルモン」といえば何が思いつきますか?
有名なのが「セロトニン」かと思いますが、実は俗にいう幸せホルモンは一つではありません。
今回はそんな幸せホルモンについて解説していきます。
人生の楽しさを決めると言っても過言ではない「幸せホルモン」。
これを知ることによって、日常生活で幸福を感じられるようにできるかも知れません。
人生の経験はコントロールできない部分がありますが、感じ方はコントロールできるものなので、そこを自分の思い通りにできればそれこそ幸福度をコントロールできます。
全くもって怪しい話ではなく、脳科学的な記事です。自分の感情を知って、しっかりコントロールできるようにしましょう。
それでは本編にいきます。
目次
幸せホルモンとは
「幸せホルモン」とは、幸福感、安心感、充実感など、生きていること自体に価値を感じられるホルモンや神経伝達物質です。
これを味方につけていれば、人生の幸福は自分で決められるようになるので、心強いです。
そして、今回ご紹介するのは幸せホルモンの三強です。
セロトニン
オキシトシン
ドーパミン
次の章から一つずつご紹介していきます。
セロトニン
セロトニンは神経伝達物質の一つで、「ドーパミン」や「ノルアドレナリン」など興奮作用のある物質を制御し、精神的な安定をもたらす役割があります。
また、生体リズム(体内時計)や睡眠にも関わりがあることが分かっています。
つまり、日常生活と隣り合わせの大切な物質です。
もしこれが低下すると、精神的に不安定になり、うつ症状を発症したり、逆に攻撃的になったりする場合があります。
最近の研究では、40代以降の女性ホルモンの低下とセロトニンの低下が関連していることが分かり、更年期障害の原因の一つだと指摘されています。
こうして見ると、セロトニンがいかに大切かを分かっていただけたかと思います。では、セロトニンを得るためにはどうすれば良いでしょうか?
セロトニンを得るには?
・太陽の光を浴びる
・運動をする、特にリズム運動
・トリプトファンを摂る
太陽の光を浴びる
太陽光を浴びるのは、人間にとって非常に重要なことです。
「植物は光合成するため太陽光は必須」と小中学校で習ったと思いますが、人間にとっても太陽光はとても大切です。なぜなら、セロトニンの分泌だけではなく、カルシウムの吸収をサポートしてくれる「ビタミンD」の生成もしてくれるからです。
それほど長く浴びる必要はなく、毎日10分〜30分ほどで効果は十分得られます。通勤、通学でそのぐらい歩いていればOKですね。紫外線の関係もあり、長時間浴び過ぎると悪影響にもなるのでそこは注意しましょう。
また、休日でも室内でずっとゆっくり過ごすのではなく、起床後1時間以内には外出し太陽光を浴びると効果的とされています。
梅雨とか太陽が全然でてくれない季節にテンションがイマイチ上がりきらないのは、太陽が大きく関連しています。太陽が雲で隠れているからといって効果が0になるということはありませんが、晴天の時と比べると、やはり違いますからね。
そんな時には他の方法で得ていくようにしましょう。
運動をする、特にリズム運動
運動をすることでもセロトニンは分泌されます。特にウォーキングやジョギングなどの一定のリズムの運動でよく分泌されると言われています。
運動後に爽快感とは違った、リラックスのような感情になると思います。それこそがセロトニン分泌の証です。
最近はテレワーク、オンライン授業などで外出の機会が減った方も多くなりました。
だから歩くだけでも良いので、15分以上は自主的に運動することをオススメします。それを朝に行えば、同時に太陽光の効果も得られるので一石二鳥になります。
まとめると、テレワークやオンライン授業だからと言って始業時間のギリギリに起床するのではなく、少し早めに起きて散歩しながらしっかり太陽エネルギーをもらってから一日を始めると、結果的に作業効率も上がり、良い循環を作り出せるということです。
トリプトファンを摂る
セロトニンは「トリプトファン」というアミノ酸で作られています。
トリプトファンは”必須アミノ酸“といって、身体の中で作ることができない物質です。
つまり、食べ物から摂取するしかありません。
また「ビタミンB6」を同時に摂ることで、セロトニンの合成をサポートしてくれるので、効果アップが期待できます。
以下が、トリプトファンとビタミンB6を摂れる食品です。
・豆腐、納豆などの豆類。
・豆乳
・牛乳、ヨーグルトなどの乳製品
・バナナ
・卵
・そば
・マグロ
これらを参考に、バランス良く摂っていきましょう。
また、食事の際はよく噛むようにしましょう。この噛むという行為でもセロトニンは分泌されると言われています。
これまで分泌させてきたセロトニンは、夜になると「メラトニン」という眠りに誘う物質に変化します。
つまり、セロトニンが多く出るような生活をしていれば、夜は深い睡眠になりやすい ということです。
深い睡眠ができれば、翌朝もパッと目覚められるようになります。朝パッと目覚め、セロトニンを得られるような行動をすれば、夜はよく寝付ける。
このような好循環を作り出していけるのが理想的ですよね。
逆に、セロトニンの分泌量が少なければ、夜も眠たくならず、夜更かしをしてしまいがちで、睡眠の質も低下します。そうなると次の日の朝も目様が悪くなり、太陽に浴びる時間も短くなり、悪循環になります。
好循環も悪循環もちょっとした行動が鍵を握っているので、少し意識すれば誰でもこのような習慣は身につけられるはずです。
ちなみに、自殺率が高い国は、相対的に日照時間が短い国(ロシア、フィンランド、カナダなど)です。
もちろん国によって社会状況、生活環境が全く違うので、一概には言えませんが、日照時間の長さが自殺率に影響しているのではないか?ということは以前から専門家の間でも指摘されています。
「太陽は偉大」とは昔から様々な意味で言われますが、人間に幸せを与えるという意味でも、太陽は本当に偉大です。
オキシトシン
オキシトシンはホルモンの一種で、抗ストレス作用があります。
オキシトシンが分泌されるとセロトニンの分泌も促進されるので、精神的な安定をもたらしてくれます。
また、オキシトシンには食べ過ぎを抑えてくれる作用もあります。
分かりやすくいうと「幸せでお腹いっぱいになる」ということです。
さて、オキシトシンを得るにはどうすれば良いのか?
オキシトシンを得るには?
・スキンシップ
・人に優しくする
・リラックスする
スキンシップ
オキシトシンを得る行動として、最も有名なのが「スキンシップ」です。
特に、自分自身に近い存在とのスキンシップは効果が高いとされています。
これは人に限ったことではなく、ペットとの触れ合いなどでも効果があります。
要は自分が好意を抱いている人・モノであれば良いということです。
例えば、「大切にしているぬいぐるみ」や「お気に入りの服」などでも効果はあるということです。
欧米ではハグの文化がありますよね。あの文化はオキシトシンの分泌を本能的に理解してできた文化なのかもしれませんね。
また、親しみがある仲間達と同じ時間を過ごすことでも分泌されます。やはり仲間は大切。
人に優しくする
誰かに優しくしたり、親切にしたりすると、自分も嬉しくなりませんか?その時の感情こそがオキシトシンです。
現在でもそうですが、狩りの時代はどうしても一人では生きていけないので、社会性(他者とのつながり)が大切でした。
その中で、他者に優しくすることで自分自身にもメリットとして幸福感が得られるようになっていったのではないでしょうか?
「お節介おばさん」というのは、いつの時代でもどこにでも存在しますが、それはオキシトシンが欲しくてやっているのかもしれませんね。本当の優しさなのか、オキシトシンを得ようとしているのかは神のみぞ知るところです。
リラックスする
リラックスはオキシトシンにとってキーワードとなっています。
スキンシップが効果的と述べましたが、触らずとも、好きな動物の映像や癒される映像などでも分泌されます。好きな音楽、好きな香りなど自分でリラックスしていると感じれば、オキシトシンがでているはずです。
一度、ご自身でどんな時にリラックスできているか考え直し、その行動を定期的にやるようにすると効果的です。
ドーパミン
最後は、「ドーパミン」です。
幸せホルモンの代表格ですが、上の2つとは少し違い、やる気、意欲、快感などを司る物質です。
人生の中で、やる気、意欲は非常に大切ですよね。やる気がないことには行動ができません。だから味方につけると心強いこと間違いなし。
しかし、使い方を間違えると危険なのがドーパミンの性質です。
ギャンブル依存症など、ドーパミンの過剰分泌で悪影響をもたらすこともあります。
ドーパミンは生物にとって報酬なので、一度手に入れたらさらに強い報酬(刺激)が欲しくなり、そこには際限がありません。
だから、コントロールが非常に大切となります。そこが上の2つとは似て非なるところです。
特に、ギャンブルやタバコなど簡単にドーパミンが手に入ってしまうような行動は、歯止めが効かなくなるので本当に注意しましょう。
マウスの実験でもありますが、ボタンを押すと、餌が出てくるという実験で、システムを覚えたマウスは際限なくボタンを押すようになります。はじめは間隔が長かくても、もっともっと欲しくなりどんどんボタンを押す間隔短くなります。
また、調べていたら、最近の研究で『ドーパミンが不足すると人もマウスも、線虫だって上手く歩けない?』というのがありました。
ドーパミンなしでは人もマウスも、線虫でも、歩けなくなるそうです。パーキンソン病はドーパミンの欠乏から運動障害になる病気ですが、このような現象がマウスや線中でさえも起こるということです。
ドーパミンの分泌はいかに大切かということを学べる一方、過剰な分泌も危ないという、コントロールすることが大切な物質です。
さて、そんなドーパミンの正しい分泌のさせ方をご紹介します。
ドーパミンを得るには?
・新しいことにチャレンジ
・目標達成
・集中する
・運動する
新しいことにチャレンジ
人間は「ホメオスタシス」と言って、体内環境(体温、心拍、血圧など様々)を同じに保とうとする性質があります。
このホメオスタシスのような性質は体内だけではなく、行動の意思決定でも働きます。同じ状況で、同じ選択をする方がなんとなく落ち着くということです。
それは変化することで、危険に晒される恐れがあるからです。また狩りの時代でたとえます。
今、安全な場所にいるのにわざわざ移動すると、獣に襲われる危機に陥るリスクがあります。そのため今と同じ場所でいるのが無難だと判断するのです。つまり、変化を嫌うのです。
しかし、変化がないままだと、逆にリスクが高まる時もあります。変わっていかないと獣にかぎつけられるかもしれません。
そこで登場するのが「ドーパミン」というわけです。
「新しいチャレンジをすることも気持ちがいいことだよ」ということを脳が理解すれば、変化も良いことだと感じますよね。
ということで、新しいチャレンジはドーパミンが出る行動になります。
「いつもと違う道を通る」など小さい変化でも脳は喜ぶので、積極的にいつもと違う何かをしましょう。
目標達成
目標を立てること、達成することでドーパミンが分泌されます。
「具体的に目標設定したらなんとなくやる気が出てきた」、という経験は誰もがありますよね。
そして、その目標を達成することでさらに快感を得られます。これは人生の活力にもなる素敵な方法です。
集中する
何かに集中している時に快楽物質と言われる「エンドルフィン」という物質が分泌され、それがドーパミンの分泌に影響を与えます。「GABA」というホルモンはドーパミンの分泌を抑制しますが、エンドルフィンはそのGABAを抑える働きがあるからです。つまり、エンドルフィンが出ていれば、ドーパミンも豊富に分泌されるので、結果として集中力が持続するということです。
ちなみにGABAは、ストレスを軽減させるといわれている神経伝達物質です。商品名になっていたりしますよね。GABAは別に悪いだけの物質ではなく、ドーパミンがアクセルに対して、GABAはブレーキになっているという関係です。何事もアクセルがあればブレーキも必要です。興奮状態とはある種の緊張状態なので、ストレスがかかります。そんな緊張状態が行き過ぎないように、歯止めをかけてくれる役割です。つまり、GABAはリラックスしたい時にはありがたく、集中したい時はありがた迷惑ということです。
話を戻して、ドーパミンです。瞑想でも、読書でも、ゲームでもとにかく集中・没頭するときにドバドバ分泌されます。
アスリートの「ゾーン」「フロー」というのはこの状態です。
スポーツではなくても、学校のテストの時、凄まじい集中で時間があっという間に過ぎたという経験は多くの方があるんではないでしょうか。
「普段こんなに集中できないぞ」という集中力を発揮したことは僕も何回もテストの時にありました。
運動する
運動は本来、「身体を疲れさせる行為」です。
ではなぜ運動をするのかというと、運動がもたらす身体的、精神的なメリットがあると知っているからです。また狩りの話です。脳の進化はそれぐらい遡った時代から作られていることが多いですね。
人類もかつては「狩るか狩られるか」という生活でした。油断が許されない弱肉強食の世界です。
狩るためにも狩られないためにもとにかく身体を動かすことが必須でした。
そのような状況では、身体を動かして「しんどい」という意識だけが生まれるのは非常に不都合です。
だから、動いた時に「気持ちいい」というような感情が出る方が都合が良かったのです。気持ちいという感情が生まれると、長く狩りを続けられ、長く逃げることも可能です。
ドーパミンはその頃に自然に生まれたホルモンだと考えられています。一種の説なので絶対正しい当ことではありませんが、僕はこの考え方が割と好きです。
つまり、狩りをする必要がなくなった現在でも、運動をするとドーパミンが放出される機能が残っているので、運動で爽快感を感じられるのです。
さて、ここまでで分かる通りドーパミンは人生のやる気を司っている物質です。手軽な方法で安易に出しすぎるのは良くありませんが、上記のような方法で出す分には、日々の生き甲斐になるので是非とも実践してください。
まとめ
さて、今回は幸せホルモンの代表を3つ取り上げてきました。
簡単にまとめると、
セロトニンは太陽光を浴びて、運動する。
オキシトシンは好きな人と触れ合い、好きな人と過ごし、好きなことをする。
ドーパミンは新しいことにチャレンジ、目標をたてて、集中する。
これらを日常的にやっていればもうあなたは「幸せホルモンの使い手」です。
人生にしっかり関わってくるので、これらの習慣は一生やっていきたいですね。
それでは最後までありがとうございました。
参考
・ドーパミンが不足すると人もマウスも、線虫だって上手く歩けない?
・教えて認知症予防『パーキンソン病・パーキンソン症候群ドーパミンってなんだ?』
・わかさの秘密『トリプトファン』
以下は、ドーパミン依存症に関係する記事です。合わせてお読みください。
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