今回はHIITについて深掘りしていきます。
トレーニング界隈では近年ブームになっているので、気になっている方も多くいるはずです。
HIITと一口で言っても、実は意味が拡がっており、様々な方法がでてきています。
なのでこの記事では、アスリート向けHIITと一般向けHIIT、に分けて解説していきます。
もちろん、メリット、デメリット、やり方なども触れていきますので、参考にしてみてください。
では、早速解説に入っていきます。
目次
HIITとは
HIITとは、インターバルトレーニングの一種で、「短時間の高強度トレーニングと短時間の休憩」を数セット繰り返すトレーニング法です。
これは「High Intensity Interval Training」の略称で、日本語では「高強度インターバルトレーニング」と呼ばれています。ほぼ直訳ですね。
読み方は人によりますが、「ヒット」「ヒート」「エイチアイアイティー」など様々あります。
「ヒット」と呼んでいる方が最も多いかなという印象です。
海外では「ハイインテンシティーインターバルトレーニング」とそのまま言う方や「ヒット」と言う方が多いです。
いつからあったのか?
HIITは、短時間でありながら効果が顕著に出ることが話題となり、最近では一般の方でも多くの方がチャレンジしています。
実は、このようなインターバルトレーニングは、1950年代からアスリートの間で既に導入されていました。
しかし、最近ブームになっている「HIIT」はここが起源ではなく、立命館大学スポーツ健康科学部の田畑泉教授が考案されたトレーニングが元となっているようです。
このトレーニング法は、「Tabata protocol(タバタプロトコル)」と名付けられ、今では広く知れ渡っています。
「Tabata protocol(タバタプロトコル)」については、後から詳しく解説していきます。
ちなみに、
「High Intensity “Intermittent” Training」「ハイインテンシティーインターミッテントトレーニング」の意味で「HIIT」という場合もいます。
同じ意味で、「High Intensity Intermittent Exercise」HIIEともいわれます。
intermittentは、時々途切れる、継続的、間欠的、という意味があります。
つまり、合間を完全休息にし、次のセットも全力でのぞめるようにするトレーニングということです。
合間に軽い運動をはさむか、完全休息にするかの違いです。
すみません、ややこしいですよね。
どちらも、「短時間の高強度トレーニングと短い休息を繰り返すトレーニング法」という意味では同じなので、ちょっとした違いがあるんだなぐらいに思っていただければ大丈夫です。
次からは、一般の方も取り入れてるHIIT(一般向け)とアスリート向けHIIT(タバタ式)に分けて、解説していきます。
どちらが良くてどちらが悪いとかではなくて、目的に応じて適した方法がありますので、ご自身にあった方法を選びましょう。
HIIT(一般向け)
一般向けとは言っても、HIITがキツイトレーニングだということに変わりありません。
ただ、最近のYouTubeなどで紹介されているHIITは、ほとんどの場合、それほど強度が高くなく、「サーキットトレーニング」に近いと言えるかもしれません。
最近、再びプチブームになり始めている「ビリーズブートキャンプ」も似ているかなと思います。
どちらにしても、優しくはないですよ。
本来のHIITをYouTubeで紹介するとなったら、アスリートがあまりの苦しさで倒れ込んでいる姿を見せるだけになるので、マニアしか見ないですからね。
とはいえこの記事では、HIITが拡大解釈されていることを認めつつ、一般の方でもできるトレーニングとして話を進めていきます。
心肺機能の向上、筋力の向上を短時間でできることは、間違いなく良いトレーニング法ですからね。
代表的な種目
・バーピー
・高速もも上げ
・ワンツーワンツー(シャドーボクシング)
・スクワットジャンプ
・マウンテンクライマー
・腕立て伏せ(膝つき)
・クランチ(腹筋)
などなど、種目は挙げるとキリがありません。
筋肉的な疲労だけではなくて、息が上がることを意識してください。
それに当てはまれば、特に種目に限定はないので、オリジナルメニューを作りきましょう。
参考欄に、僕がわかりやすいと思った動画リンクを貼ってますので、見るとイメージがわくと思います。
やり方
・20秒の高強度トレーニングと10秒の休憩
・これを6〜8セット行います。
・週3〜4回は頑張りたいです。
HIITの基本は、20秒10秒です。
実験で、他にも様々な時間設定でされていますが、本来の目的にそった結果としては、この20秒10秒がベストになったようです。
最短4分ほどで終えられますが、このHIIT(一般向け)に関しては、できそうなら10分、20分やってもOKです。
また、20秒を30秒や45秒にしている方もいますので、そこはやっていくうちにアレンジしてください。
「強度がうまく高められず、4分間では足りない」というケースも考えらるのでそこは調節しましょう。
上記の頻度で行うと、6-8週間で効果が出るとされているので、まずはそれを目安に頑張りましょう。
メリット
短時間で終わる
心肺機能、筋力の向上
生活習慣病のリスクが減少
頭がスッキリする
ダイエット効果
短時間で終わる
短時間で終わるので、長い時間かけたくない方、トレーニングに時間を割けない方にとっては、GOODですね。
逆にいうと、「時間がない」という類の言い訳ができなくなっちゃいますよ。
心肺機能、筋力の向上を期待できる
心肺機能は、息切れを起こしている状態の時に、重ねてトレーニングをしていくことで向上します。
これは筋力でも言えます。筋繊維が破壊されて、乳酸がたまって動きが鈍くなった時に、重ねてトレーニングすることで向上します。
人間もある意味「サイヤ人」みたいなもので、追い込まれた後はちょっと強くなって戻ってくるということです。
生活習慣病のリスクが減少
血糖値、LDL(悪玉)コレステロール値の改善が期待できるということです。
血液がサラサラになり、血管の柔軟性も改善されます。
結果、全身に血が行きわたるようになるので体調が良くなるというわけです。
頭がスッキリする
ランニングした時のようなスッキリ感を得られます。
また、僕の感覚では、中途半端な欲はかき消されます。
例えば、ネットで衝動的に買いたくなったものがあったとして、その時にHIITをしてみると、スッキリして結構どうでもよくなります。
それでもまだ欲しければ、ホンモノなので買ってしまってもいいかもしれませんね。
ダイエット効果
最近よくHIITは「ダイエット効果がある」とか「ダイエット効果がない」など色々言われていますので、僕なりの解釈をいいます。
ちなみに、田畑教授は、「本来のHIITは、ダイエット効果はありません。」とおっしゃています。
アフターバーン効果(トレーニング後の代謝アップ)はもちろんありますが、それだけで劇的に痩せるということはありません。
また、筋肉量が増えるこで基礎代謝もアップしますが、そもそもHIITで、筋肉量が劇的に上がるわけではありません。
じゃあ、なんでダイエット効果があると言われるの?
そこにはいくつか理由が重なっていると思います。
・追い込みが足りないことで心拍数が上がりきらず、有酸素運動型や脂肪燃焼型のトレーニングになっているから
・運動習慣がそこまでない方がおこなうことで、単純にいつもより総消費カロリーが増えるから
・ダイエット効果があると思い、わざわざキツイと言われるHIITをやる人は、相当ダイエットしたい気持ちが強いから
3つ目についてですが、そこまで意識が高い人が、食事に気をつけないわけがありませんよね。
つまり、トレーニング、プラス食事制限をしていることになるので、結果ダイエットできるということです。
他にもあると思いますが、以上のような理由が重なり、ダイエット効果があると言われているのかなと思います。
目的別、運動強度の違いについては、下記で詳しくふれています。
【知っておきたい】METS(メッツ)の話【運動の強度が分かる】
デメリット
筋肉量を増やしたいだけなら向いていない
HIITの本来の目的は、「しんどい時にも筋肉がしっかり動いてくれるようにすること」です。
筋肉を太くすることが目的ではありません。
しんどい時でも筋肉を動くようにできることは、筋トレの質をあげてくれる可能性はあります。
しかし、このHIITをすることで、筋肉量が最大限の成長を見せてくれるのであれば、ボディービルダーもみんなやってるはずですよね。
デメリットとして書きましたが、逆にいうと「そこまでムキムキを求めていなくて、しなやかな身体づくりをすることが目的」という方にとってはメリットですね。
強度が高い
やはりこれは見逃せません。
ウォーキングやジョギングから始めたいというような運動初心者にはオススメできないです。
そういう方は、幾分強度を下げたサーキットトレーニングがオススメです。
腕立て伏せ(膝つき)、スクワット、体幹トレーニングなどを組み合わせて、できる範囲でやっていければひとまずOKです。
継続して、楽に感じるようになれば、徐々にレベルをあげましょう。
最初は誰でも初心者で、みんなそこからのスタートですよ。
タバタ式トレーニング
この記事では、上のHIIT(一般向け)とタバタ式トレーニングを完全に分けて紹介しています。
シンプルに、よりキツイトレーニングがこのタバタ式と考えてください。
アスリートのパフォーマンス向上が目的なので、誰でもできるトレーニングではありません。
やり方は同じで、高強度運動20秒、休憩10秒を6-8セットです。
最大酸素摂取量の170%(連続では50秒しかもたない強度)を繰り返しおこなうので、トップアスリートであっても終わった時はフラフラです。
連続では50秒しかもたない強度の運動ですが、短い休憩をはさむので、なんとか数分はできるように設計し、力を引っ張り出すということです。
「ちょっと休ませて、またやらせる。ちょっと休ませて、またやらせる」まさに鬼です。
さかのぼると、長野オリンピック、スピードスケート500mの金メダリスト、清水宏保選手がスピードスケートの入澤孝一監督のもとで実践していたそうです。
そのスピードスケート界から他競技のアスリート達へドンドン広まっていったというわけです。
競技にもよりますが、アスリートは心拍数が上がりきったところで、筋肉をしっかり動かさないといけないことが多いので、このタバタ式トレーニングは非常に適しています。
代表的な種目
・ダッシュ
・特殊な自転車エルゴメーター(専用バイク)
・バーピー
追い込めるのであれば種目は問わないです。
上で解説したHIITとは違い、4分ほどで終えるようにしてください。
終わった時に余力があるようなら、まだまだ強度は足りていません。
回数やタイムは後半ドンドン落ちていきますが気にせず続けます。
最後のセットはフラフラになっているイメージです。
通常、最大酸素摂取量を計りながらトレーニングをすることはできないので、心拍数に置き換えます。
最大心拍数の100%を目標に、少なくとも90%以上を継続できればトレーニング効果は出るはずです。
タバタ式のメリット
スタミナ爆増
生きている喜び
スタミナ爆増(最大酸素摂取量増加)
これにつきます。
パフフォーマンスが上がることがアスリートにとっての最大のメリットなので、これだけでやる価値ありです。
無酸素性持久力(瞬発的なパワー)、有酸素性持久力(ある程度長く出せるパワー)、ともに顕著に上がります。
まさにアスリート向けの実践思考のトレーニングだと言えます。
生きている喜び
人間、本当に追い込まれると命の危険を感じるからなのでしょうか、それを乗り越えた時の達成感・充実感が凄いです。
シンプルに生きているって素晴らしいなって感じます。
そういう感情になるのって素敵ですよね。
デメリット
運動中のカロリーの消費は少なめ
まず、トレーニング時間は短いのでカロリー消費は少なめです。
また、強度が高ければ筋肉のエネルギー源として糖質が使われるので、運動中にガンガン脂肪が燃えていくということはありません。
トレーニング中の脂肪燃焼が狙いであれば、長時間のランニングなどをやる方が良いでしょう。
田畑教授自身もおしゃっていますが、脂肪燃焼が目的ではありません。
アフターバーン効果(運動後の燃焼)はありますが、それも劇的なものではありません。
とにかくキツイ
上記したHIITと比較できないぐらいとにかくキツイです。
高いモチベーションがなければ継続できることではありません。
そこを乗り越えて手に入れられるものがあるということですね。
一つ言うと、仲間を道連れにすると、やる勇気も湧いてきますよ。
究極の「No pain No gain」
まとめ
今回はブームになっているHIITについて解説してきました。
偉そうにたくさん解説しましたが、書くだけなら簡単で、やるのはいまだに本当に大変です。
書いてるだでも、若干心拍数が上がってきます。
また、色々調べていく中で、僕自身、すごく勉強になりました。
HIITとは言っても想像以上に幅が拡がっているようですね。
また、タバタ式トレーニングに関しても、少しずつ変化があるようです。
最大酸素摂取量170%までいかなくても良い効果が出るようなトレーニングも研究中みたいです。
今後の新たな発表に注目したいです。
最後までありがとうございました。
参考
以下をおおいに参考にさせていただきました。
『日本音響学会誌 76 巻 2 号(2020 pp. 117–122 タバタトレーニング』
YouTube
・山本義徳 筋トレ大学『HIITの創始者田畑さんと奇跡のコラボ。HIITやタバタトレーニングについて詳しく解説してもらいました』
・メンタリストDaiGo『HIITの極め方①ミトコンドリアから人生変える最強の運動』
・CALISLIFE自重トレ『【マンションOK】ドンドンしない体脂肪燃焼トレーニング(HIIT)!10分×2セット!』