今回は前編、後編の二部構成で「食品添加物」についてお話しします。
最近では食品添加物の注目度が上がってきているので使用されているかを意識している方は増えています。
しかし「食事のバランスには気をつけているけど、食品添加物まで気がまわらない」という方はまだまだ多いのではないでしょうか?
この時代において食品添加物を全く摂らないで生活するのはほぼ不可能と言えます。
そこで何より大切なのが、食品添加物についての知識を深めることです。
どんなことでもそうですが、基本的な知識を知っていないと自分の意見を持てないですからね。
ということで今回の記事の目的は食品添加物が、ちまたで良いとか悪いとか色々意見があるのを知った上で、自分の方向性を決めることです。
前編では、食品添加物の基礎知識や販売している企業の考え方など、後編では危険とされる食品添加物と食品表示の見方などを掘っていきます。
前編、後編通してみることで、ご自身のスタンスが段々決まってくると思うので、できれば通して見てください。
それでは本編へまいりましょう。
目次
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前編
- 1.食品添加物とは?
- 2.食品添加物はなぜ使われるのか?
- 3.大っぴらにできない使用目的
- 後編
- 4.食品添加物はなぜやばいか?
- 5.危険な添加物の種類
- 6.食品表示の見方
- 7.まとめ
まず食品添加物に関しては様々な議論がなされており、どの説が正しいということは一概には言えません。
今回ご紹介するのは、僕が調べて取捨選択した末の暫定的な僕個人の意見です。
それを踏まえた上で、ご自身でもよく考えてどれを選び取るのか考えましょう。
食品添加物とは?
まずは食品添加物とは何なのか?ということを整理していきます。
知らない方はもちろんのこと、知っている方もおさらいがてらサッと見てください。
日本の規定で食品添加物は大きく4つに分類されます。指定添加物、既存添加物、天然添加物許可、一般飲食添加物の4つです。
分類の説明は以下の通りです。
分類 | 定義 | 例 |
指定添加物 | 食品衛生法第12条に基づき、厚生労働大臣が使用してよいと定めた食品添加物です。食品衛生法施行規則別表1に収載されています。この指定の対象には、化学的合成品だけでなく、天然物も含まれます。 | アセスルファムK、アスパルテームなど |
既存添加物 | 化学合成品以外の添加物のうち、我が国において広く使用されており、長い食経験があるものは、例外的に指定を受けることなく使用・販売等が認められており、既存添加物名簿に収載されています。 この類型は、平成7年の食品衛生法改正により、指定の対象が、化学的合成品から、天然物を含む全ての添加物に拡大された際に設けられました。 |
カフェイン、カテキン、カラメル色素など |
天然香料 | 動植物から得られる天然の物質で、食品に香りを付ける目的で使用されるものです。基本的にその使用量はごくわずかであると考えられます。 | バニラ香料、カニ香料など |
一般食物添加物 | 一般に飲食に供されているもので添加物として使用されるものです。 | イチゴジュース、寒天など |
さて、いかがでしょう。これら食品添加物を全て合わせると約1500種類もあります。あまり詳しくない方でしたら、「身体に悪いものがこんなにたくさん規定されているの?」と思うかもしれません。しかし、食品添加物反対派の人達もこれら全てが悪いとは思っていません。例えば、豆腐に使用される「にがり(塩化マグネシウム)」は製造に必要不可欠ですし、人体に影響があるという議論すらされていません。議論の的となっているのは例えば「アスパルテーム」など動物実験の結果で病気などが確認された添加物です。この辺りについては後編で詳しくやっていきます。なので、まず前編では食品添加物の基礎的なところをやっていきます。
厚生労働省HPによると、食品添加物の説明は以下の通りにです。
食品添加物は、保存料、甘味料、着色料、香料など、食品の製造過程または食品の加工・保存の目的で使用されるものです。
厚生労働省は、食品添加物の安全性について食品安全委員会による評価を受け、人の健康を損なうおそれのない場合に限って、成分の規格や、使用の基準を定めたうえで、使用を認めています。
また、使用が認められた食品添加物についても、国民一人当たりの摂取量を調査するなど、安全の確保に努めています。
厚生労働省の別の資料では以下の記載もあります。
『厚生労働省の取り組み 食品添加物の安全確保』より抜粋
摂取量調査
実際に市場から仕入れた食品中の添加物の種類と量を検査し、一日摂取許 容量(ADI:人が毎日一生涯摂取し続けても、健康への悪影響がないと 推定される一日当たりの摂取量)の範囲内にあるかどうかを確認
成分規格および使用基準の 設定
品質の安定した食品添加物が流通するよう、純度や成分について遵守すべ き項目(成分規格)を設定。また、過剰摂取による健康影響が生じないよ う、食品添加物ごとに添加できる上限値など(使用基準)を設定
ここまでいかがでしょうか。国の機関がそこまで言うならなんだか大丈夫な気がしてきますよね。
ただし、そこで止まってしまっては思考停止です。すぐに鵜呑みにするのではなく、なんでも疑いの目を持って見ることも大切です。
別の資料ではこう書かれています。『マーケットバスケット方式による年齢層別食品添加物の一日摂取量の調査』より抜粋。
これまで実施した調査結果では、安全性上問題ないことが確認されていますが、仮に安全性上問題となるような結果が明らかとなった場合には、食品添加物の基準を改正するなど必要な措置を講じることとしています。
簡単にいうと、「すごい気をつけて調査はしていますけど、100%あっている保証はありませんよ。もし違うと判明すれば改正します」ということです。
これを見るとちょっとヤバいかもとは思います。そりゃそうです。今の科学が全て正しいという保証はありませんからね。
2.食品添加物はなぜ使われるのか?
さてこのあたりで一旦、使用用途を整理しておきましょう。
ざっくりですが、主な役割は以下の通りです。
・味や風味の調整
・食感の変化
・栄養の調整
・見た目を良くする
・安全性の保全
大きな枠組みで言えばこうなります。このあたりをしっかりおさえていればOKです。
味や風味を調整することで、僕たちが美味しく食べられるようになります。また、色などを調整することで見た目が良くなるので、食欲が湧きます。また、必要であれば栄養素を付け加得ることがあります。そして、買ったものがすぐに腐って菌が繁殖してしまったら問題なので日持ちするようにします。こうして食品に現代科学を取り入れることで、生活をより豊かにしてくれるというわけです。
これはあまりに表向きの使用目的だと思いませんか?誰が見てもあまり不快には感じませんよね。
しかし、この他にあまり大っぴらにはできない理由があるとすればどんなことがあるでしょうか。続いてはその辺りを掘っていきます。
おおっぴらにできない使用目的
僕たちは食品会社は営利企業。
たくさん商品を売って儲けることが目的。
もちろん原価はできるだけ下げたい。
さらに日もちさせればもっとコストおさえられる。
営利企業は儲けてナンボですから、こう考えるのはごく当たり前のことです。
そういったあまりおおっぴらには言いにくい使用目的があります。お笑い芸人が「すごい面白い話があるんですよ」と前置きして話し始めることは基本的にはありませんよね。それと似ています。裏で、目的があっても大っぴらにして言うと冷めてしまうことは世の中にはたくさんあります。だから、食品会社自らこういうことはありません。
僕たち利益をできるだけ出したいので、原価を下げて、日もちするように添加物を使っています。でも、味はあまり変わらないのでご心配なく。
まずありませんよね。もちろん、儲けのことだけに囚われて、消費者の健康の害を全く気にしていないということはないと思います。何より厚生労働省が使って良いといっているわけですから。
とはいっても一筋ではいかない消費者。
食品添加物が身体に悪いらしい
と一度耳に入れば、できるだけ添加物が使われていない食品を買うようになります。
近年はこの傾向が顕著となり、原価を下げるためだけに、添加物を入れまくるという強引なプレーだけで消費者は攻略できないようになってきました。
これからは添加物を使っていない商品を買おうっと
添加物の不使用をウリにした方がたくさん売れそう。売値は上がるけど、結局売れなければ意味がないよね。そもそも食品添加物が悪いモノだと思ってないけど、使ったら売れないなら使わないよ。
こういった企業VS消費者の戦いは永遠に続きます。
テレビではNG!?
テレビでやったらもっと知ることができるのに、なぜテレビでやらないの?
こういった疑問も当然生まれます。こんなに食品添加物について議論がされている今なら、放送すれば視聴率もとれそうです。
それなのにテレビではできません。
それは、食品企業は大型スポンサーだからです。
基本的にテレビ番組は視聴率をとってナンボです。そのテレビ番組の合間に流れるCMこそスポンサー企業です。
テレビ局からすれば、スポンサー企業はお客様です。
どちらの意見が正しいと言う結論ではないとしても、放送することで反対派が増えて結果売り上げに影響が出るかもしれません。そうなったら、もうスポンサーになってくれませんよね。こういった理由でテレビでは放送されないこともあるのです。
厚生労働省が「食品添加物は安全」としている以上、国は安全だというスタンスです。
しかし、反対側の意見もしっかりあります。本などでは多数出版されているので世間にも広がってきています。
この先、地動説と天動説のように覆されることがあるかもしれません。
今は、YouTubeなどテレビ以外の媒体が力をつけてきました。そういった媒体では、忖度がないので自由に発信できます。
情報は自ら掴みに行って、取捨選択していきましょう。
前編は以上となります。
後編では、「なぜヤバいと言われているか」ということを中心に書いていきますので、引き続きご覧ください。
参考
・厚生労働省『食品添加物』
・厚生労働省の取り組み
・マーケットバスケット方式による年齢層別食品添加物の一日摂取量の調査