今回は「下半身の筋肉がいかに大切か」というお話をします。
というのも、2022年北京冬季オリンピックを観ていて、冬季オリンピックの競技は相対的に下半身のパワーが重要となる競技が多いなと感じたからです。
理由はいろいろあると思います。雪や氷の上で行われる性質上、下半身の筋力がしっかりしていないとボディバランスが保てないからというのが大きな理由の一つでしょう。
ところで、冬季オリンピックでは肌の露出がほとんどありません。そのため筋肉の量があまり分かりません。だからなのか、冬季の選手で筋肉がフィーチャーされることはあまりありません。
では、「夏季オリンピック選手より冬季オリンピック選手の方が筋肉が少ないのか?」
もちろん、Noです。
露出が少ないだけで、凄い筋肉があるはずです。特に下半身は、凄まじいでしょう。
そんな冬季オリンピックをやっている今だからこそ、下半身を鍛える重要性を考えていきます。
冬と夏のオリンピック
まずは、オリンピック関連について少し見ていきます。
世の中には、夏と冬、両方のオリンピックに出場している「鉄人」が存在します。
中学の部活レベルでは、「普段はバスケ部員だけど、助っ人として陸上部のリレーメンバーになる」というのはよくありますが、スポーツ最高峰の舞台であるオリンピックで二刀流をできるのは本当に凄いことです。
では、そんな鉄人達はどういう競技で出場することが多いのか?
「冬季でスピードスケート、夏季で競輪」というパターンが最も多いです。
次に多いのは、「夏季で下半身パワー系競技、冬季でボブスレー」というパターンです。
これらに共通しているのは、下半身のパワーが最も重要となる競技ということです。
ところで、「冬季でスピードスケート、夏季で競輪というパターンはなぜ多くなるのか?」
これにはちゃんと理由があります。
スピードスケート選手のトレーニングで定番で行われるのが「バイクトレーニング」だからです。
ほとんどの競技で、その競技以外の練習を取り入れます。例えば、パワー系の競技ではウェイトトレーニングが欠かせませんし、ボクシングでは絶対にランニングをします。
スピードスケートでは競技以外のトレーニングの定番が「自転車」ということです。自転車エルゴメーターを使うこともあれば、自転車競技場でトレーニングをすることがあるみたいです。おそらくスピードスケート選手でバイクトレーニングをやっていない人はいないでしょう。
自転車トレーニングで養われる「下半身のパワーと心肺機能」はスピードスケートにおいても必要不可欠な能力なので、そこはかなり共通しているようです。
理由は分かったかと思いますが、こんな勘違いしないでください。
使う筋肉が似通っているから、出場は簡単なんだ!
冷静に考えてください。専門でやっている選手がいる中で、その枠を勝ちとることは本当に凄いことです。中学の部活レベルではありません。世界レベルですから。
ちなみに、日本でこのパターンでオリンピックに出場した最も有名な選手が橋本聖子さんです。そうです、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の会長・橋本聖子さんです。
橋本さんはオリンピックに合計7回出場しています。スピードスケートではメダルも獲得されています。また、1988年にはカルガリー冬季オリンピック、ソウル夏期オリンピックに出場しています。冬のオリンピックが終わってから約7ヶ月後に夏の大会に出場するという大忙しの一年も経験されています。
大忙しでいうと、今回のオリンピック出場者、平野歩夢選手がいます。2021年に行われた「東京オリンピック」にスケートボード(パーク)に出場後、半年で今回の北京冬季オリンピックなので、スパンでいうと橋本さんよりもさらに短いです。今回も金メダル争い必至ですから、要注目です。
さて、少し話はズレてしまいましたが、今回のお題は「下半身を鍛える」ということです。
次の章から、下半身のトレーニングについてやっていきます。
ちなみに、今回の北京は、史上初、夏と冬のオリンピックを開催した都市となりました。
数十年後のクイズ番組に出てきそうですね。
ちなみに、今回の北京は、史上初、夏と冬のオリンピックを開催した都市となりました。
数十年後のクイズ番組に出てきそうですね。
下半身トレーニングのメリット
それではまず、下半身を鍛えるメリットをお話します。
代表的なメリットは以下です。
・基礎代謝の向上
・下半身の筋肉低下の予防
・日常生活で疲れにくくなる
・キレイな脚になる
基礎代謝の向上
基礎代謝とは「安静時(呼吸以外の運動をしていない時)に、消費されるエネルギー量」のことです。
これが低ければ、同じ摂取カロリーだとしても太りやすくなります。逆に、高ければ勝手に消費してくれるので、太りにくくなるということです。
そんな基礎代謝の中で最も多くエネルギーを消費するのが「骨格筋」です。
骨格筋というのは、骨に付着していて、それを動かすための筋肉です。日常会話で「筋肉」と言ったら相当なマニアではない限り骨格筋のことでしょう。
ここであえて「骨格筋」と書いてあるのは、筋肉の種類には他に、心臓の心筋や内臓の内臓筋(平滑筋)があるからです。というわけで、この文脈では混同しないようにあえて骨格筋と書いています。
では、下の表をご覧ください。
見分かる通り、基礎代謝の中で骨格筋が最も多い割合を閉めています。
一見、「22%って少なくない?」って思ってしまうかもしれません。
しかし、他の並びを見ると、ほとんどが内臓です。基本的に鍛えてどうこうできるものではありませんよね。
というわけで、「基礎代謝を増やすなら”骨格筋を増やすこと”が最善」という結論になるのです。
その骨格筋の中でも、60〜70%は下半身にあるとされています。考えてみると、上半身の力だけで移動するのは、10メートルでも相当しんどいですが、下半身を使えば普通に歩くだけなので余裕です。いつもいかに下半身に頼っているか分かります。
以上のことを知った上で、どこを鍛えれば効率が良いのか?
もう言わなくても分かりますよね。
以下の記事で、基礎代謝などをより詳しく説明しているので、あわせてみるのがオススメです。
【見逃し厳禁】カロリーについて語るときに僕が語ること【これが基本】
下半身の筋肉低下の予防
人間は加齢すると、筋力が衰えてきます。筋力が衰えるということは、筋肉量が減少するということです。筋肉量は20歳から70歳の間におよそ30%減少するとも言われています。
「大きい筋肉」ということはそれだけ、減る幅も大きいということです。骨折してギプスを外した時に、左右で脚の太さが明らかに違うということよく起こります。こういう現象が加齢で普通に起こるのです。
これはもちろんトレーニングによって緩和できます。筋肉が衰えるがままにしていると、外に出て歩いたり、階段を使うのも億劫になってきます。そうなると悪循環となり筋肉の減少が加速する一方です。また、身体を動かさなくなると、脳の働きも低下してしまいます。下半身トレーニングをすることで、そこに「待った!」をかけたいですね。
日常生活で疲れにくくなる
日常生活では何かと下半身の筋肉を使います。下半身の筋肉は大忙しです。家の中の移動、立ったり座ったり、通勤や通学、何をするにしても下半身の筋肉はついてまわります。
そんなよく使う下半身の筋肉ですが、長時間歩いたり、長い階段を上ると若干疲れませんか?
下半身を鍛えていると、それが緩和されます。いつの間にか「なんか楽になった」そんな感覚になると思います。日々の移動が楽になれば、動くことも増えると思いますし、アクティブになりそうですね。
キレイな脚になる
男女問わず、太い脚、細すぎる脚を気にされている方は結構多いと思います。
そこでも役立つのが下半身のトレーニングです。
ダイエットと一緒に下半身を鍛えることで、脂肪が落ちてきた時の下半身のシルエットは綺麗になります。
細くて悩んでいる方は、筋肉がつくことで力強い脚が手に入ります。
また、ウェイトトレーニングをしない限りは、そこまで太くなることはありません。だからそこを懸念している方はそこまで気にしなくていいと思います。
逆にしっかり太くしたいという人にとってはウェイトトレーニングをした方が効果は出やすいです。
ところで、太くて悩んでいる方で多くあるのが、老廃物が溜まってむくんでいるパターンです。
その点も下半身の筋肉を鍛えることで、老廃物がたまりにくくなるので、むくみも解消されてくるはずです。同時にふくらはぎのマッサージをするとさらに効果はありますよ。
下半身トレーニングのオススメ種目
最後に、家でもできる下半身トレーニンのオススメ種目をご紹介します。
応用種目は他にもたくさんありますが、まずはここで紹介する基本種目に慣れましょう。
基本種目といえども、極めれば凄いことになりますよ。
イチロー選手の名言にもあります。
「小さなことを積み重ねることが、とんでもないところへ行くただ一つの道」
こすり倒されあているような事を言ってしまい申し訳ございません。でも、続けなければ成長しないのは事実なので。なお、フォームに関しては概要欄のYouTubeでチェックするのが分かりやすいです。
さて、見ていきましょう。
・スクワット
・ワイドスクワット
・ランジ
・カーフレイズ
スクワット
スクワットは「筋トレの王様」と呼ばれます。その所以は人間の中で最大の筋肉である、大腿四頭筋を中心に鍛えられることです。ちなみに、力こぶ(上腕二頭筋)と太もも前面(大腿四頭筋)を比較すると、10倍ほど太もも前面の方が大きいです。
そんな最大の筋肉を鍛えるということは、それだけ疲れます。筋疲労もさる事ながら心拍数も上がります。
とはいえ、ウェイトを使わないスクワットでは、疲労困憊になるということは少なく、家でも気軽に鍛えられます。自分の体重だけでも、フォームと回数をしっかりすれば十分効果は出せます。
テレビ見ながらなどの「ながらトレ」も可能なので初心者からオススメできます。
慣れてくると、ジャンピングスクワットにすればさらに負荷は高められますよ。
ワイドスクワット
こちらはスクワットの足幅を広げたバージョンです。足幅を広げることによって、鍛えられる部位が変わります。
スクワットと比べると、お尻(大臀筋)と内もも(内転筋)を鍛えやすくなります。
お相撲さんの四股に形が似ています。筋力アップと同時に股関節のストレッチにもつながります。
通常のスクワットとセットでするのがオススメです。
スクワットと比べ膝に負担が少ないので、運動はじめたてでもやりやすいです。
ランジ
ランジは、お尻、太もも周りを満遍なく鍛えることができます。
特に、太ももの裏側(ハムストリングス)はスクワットと比べても効かせやすいです。
また、バランスが必要になってくるので、お尻周りの小さなインナーマッスルも鍛えられます。
カーフレイズ
上記はお尻や太もも周りが中心の種目でしたが、カーフレイズは、ふくらはぎ(腓腹筋、ヒラメ筋)を集中して鍛えられます。また、ふくらはぎは細く見えますが、広背筋や大胸筋よりも大きいのでトレーニングすることで効果は出やすいです。
カーフレイズは非常にシンプルな種目ですが、侮ることなかれ。
ふくらはぎは「第二の心臓」とも言われるほど大切な筋肉です。
ふくらはぎは身体の大きな筋肉の中で、最も下に位置しています。下にいった血流を上へ戻すポンプ作用があることから「第二の心臓」と呼ばれるのです。
この力が弱ければ血流が上へ戻りにくくなるので、結果的に下半身に老廃物がたまり、むくみが起こりやすくなります。
こう聞くと、カーフレイズ、ふくらはぎの大切さがわかると思います。
注意点
ここまで上げてきた種目をセットで行うと効果が出るはずです。
全ての種目で言えるのが、「正しいフォームを身につけること」です。
やる前からいきなり「20回×3セットするぞ」と決めてしまうと回数にとらわれて、回数をこなすことが目的となり、結果的にフォームは崩れてしまいます。そのやり方では本来の効果は出ませんし、怪我につながる可能性もあります。
というわけで、まずはご自身で「正しいフォームで、何回やればキツくなるか」ということを把握しましょう。
それを3セットすればどのトレーニングをするにしても効果は出やすくなります。
まとめ
今回は下半身トレーニングのお話をしてきました。
冬季オリンピックは、下半身のパワーが強いという話もしたので、これからオリンピックを見る際に、その辺りに注目しても面白いかもしれませんね。
また、ダイエット、加齢の対策にも下半身トレーニングはとても大切です。
自宅でも十分に効果を感じられるので、継続してやっていきましょう。
まずはスクワット、カーフレイズから始めてみてはいかがですか?
それでは、最後までありがとうございました。
参考
・健康長寿ネット『運動機能の老化』
・厚生労働省 e-ヘルスネット『QOLの維持・向上に大切な筋肉は?』
・ResearchGate『Large and Small Muscles in Resistance Training: Is It Time for a Better Definition?』